「マーケットからお金を持ってくる」ことに憧れていた。私の投資観をRetryした話

Mindset

投資を始めたころ、私にはちょっとした憧れがありました。

「マーケットからお金を持ってくる」

ということへの憧れです。

会社から給料をもらうわけでもない。
商品を売るわけでもない。
誰かにサービスを提供して、その対価をもらうわけでもない。

株価や為替の動きを読み、自分の知識と判断によって利益を得る。

そんな世界に、どこか格好よさを感じていました。

実際、投資について勉強しました。投資セミナーにも参加しました。いろいろな手法や考え方にも触れました。

でも、実際に自分のお金をマーケットに置き、時間をかけて付き合っていくうちに、投資に対する考え方は大きく変わりました。

これは「投資で成功する方法」の話ではありません。

私自身が投資でつまずきながら、考え方をRetryしてきた話です。

投資だと思っていたら、投機だった

最初の大きな気づきはこれでした。

自分では投資を学んでいるつもりだったけれど、実際には投機について学んでいた部分もかなりあった。

もちろん、投機が悪いという話ではありません。

短期的な値動きを予想して利益を得ようとすることも、一つの市場参加の方法です。

ただ、私の中では「投資」と「投機」の境界がかなり曖昧でした。

そして世の中を見渡してみると、この二つが同じ「投資」という言葉で語られていることもあります。

「投資を学びましょう」と言われて話を聞いてみたら、実際には短期的な値動きを予測して利益を上げる方法が中心だった、ということもあります。

それでも当時の私には魅力的に見えました。

なぜなら、

マーケットからお金を持ってくる人になりたかったからです。

「もっと勉強すれば勝てる」と思っていた

マーケットで利益を上げるためには知識が必要。

もっと勉強すれば勝てるようになる。

勝っている人から学べば、自分も勝てるようになる。

優れた手法を身につければ再現できる。

そう考えていました。

もちろん、勉強すること自体が無駄だったとは思いません。

でも実際にやってみると、市場には自分ではコントロールできない要素があまりにもたくさんあります。

仕事の勉強とは少し違いました。

知識や技術を身につけたからといって、それに比例して収益が上がるわけではありません。

そして次第に、

「どうやったら大きく儲けられるか」ではなく、「どうすれば市場から退場しないで済むのか」

を考えるようになりました。

バフェットの言葉を聞いて、分散投資はダメだと思った

投資を勉強していると、ウォーレン・バフェットの話によく出会います。

私もその影響を受けました。

集中投資についての話を聞いて、「分散しすぎるのは良くないのではないか」と考えたこともあります。

でも、あるとき当たり前のことに気づきました。

私はウォーレン・バフェットではありません。

企業を見る能力も違う。
持っている資本も違う。
市場に対する影響力も違う。
損失に耐えられる力も違う。

世界有数の投資家の言葉の一部分を聞いて、それをそのまま自分の投資に当てはめても仕方がない。

一方で、バフェットについては「理想的な保有期間は永遠」という有名な考え方も知りました。

集中するという話だけを切り取るのか。

長期間保有するという話を切り取るのか。

どちらも一部分だけ聞けば、それらしい投資哲学になります。

そこで思うようになりました。

知識は人から借りられる。でも、理解までは借りられない。

本を読むことも、人から学ぶことも大切です。

でも最後は、自分のお金を実際に市場に置き、値上がりも値下がりも経験して、自分で考えなければ分からない。

少なくとも私にとって、投資はそういうものでした。

庶民は、まず死なないことが大事

そうして私がたどり着いたのは、ずいぶん地味な考え方でした。

庶民は、まず死なないことが大事。

大きなリターンを得るには、大きなリスクを取ればいい。

理屈ではそうなのかもしれません。

でも、そのリスクに自分が耐えられなければ意味がありません。

50%下落しても長期間持っていれば戻るかもしれない。

しかし生活資金まで投じていたら、戻るまで待てないかもしれません。

レバレッジをかけていれば、さらに状況は厳しくなることがあります。

精神的に耐えられず、途中で手放してしまうこともあるでしょう。

そこで私の中では、

「どれだけリスクを取れるか」より、「取ったリスクにどれだけ耐えられるか」

のほうが重要になりました。

正しかったか間違っていたかが分かる前に退場してしまったら、ゲームを続けることすらできません。

実際、かつての私はFXの自動売買やトルコリラのスワップポイント狙いに手を出してロスカットを食らい、数百万単位の資金を溶かしたことがあります。そこで初めて、自分が『自分が耐えられないリスク』を抱え込み、そこで初めて、自分が「自分では耐えられないリスク」を抱え込み、自分で出口を決めることすらできないまま、市場から強制的に退場させられたことに気づきました。

私が決めた、地味なルール

いろいろやった結果、現在の自分のルールはとてもシンプルです。

まず、市場に参加する。

タイミングをはからない。

分散する。

レバレッジをかけない。

そして、簡単には売らない。

これは「最も儲かる投資方法」だと言いたいわけではありません。

私が市場に長く参加するために決めたルールです。

市場が明日上がるのか下がるのか、私には分かりません。

だったら、それを当て続けることを前提にしない。

予想することよりも、

予想が外れても市場に居続けられる状態を作る。

そちらのほうが自分には合っていました。

気づいたら「含み益バリア」ができていた

実際、資産は少しずつ増えています。

でも、不思議なくらい、

「投資でガッポガッポ稼いだ」

という感覚はありません。

やってきたことを振り返ると、かなり地味です。

働く。

日々の支出を管理する。

余ったお金を入金する。

市場に置く。

そして待つ。

また働く。

また入金する。

そして、また待つ。

これを繰り返していたら、いつの間にか資産が増えていました。

そして少しずつ、私が勝手に「含み益バリア」と呼んでいるものができてきました。

投資した金額より資産価値がある程度上にあれば、多少市場が下落しても、すぐには元本を割りません。

もちろん、含み益は確定した利益ではありません。

大きな暴落が来れば、そんなバリアなど簡単になくなるかもしれません。

それでも、長く市場に参加してきた結果としてできた余白は、値動きに対する心理的なクッションにはなっています。

相場を読める人になりたかった

投資を始めたころの私は、

相場を読める人になりたかった。そして、慣れれば読めると思っていた

上がる前に買う。

下がる前に売る。

そんなことができたら格好いいと思っていました。

今は少し違います。

値上がりしても浮かれない。

値下がりしても慌てない。

市場が動いていることと、自分の日常生活をできるだけ切り離す。

長期間市場に参加していることで見えてくるものもあります。

最終的には、

値動きが自分とは関係ないと思えるくらいまで達観できたらいい。

そう思っています。

だから今は、

相場を読める人になりたいのではなく、相場を読まなくても困らない人になりたい。

と思っています。

お金が必要になったら、売る

そしてもう一つ。

これはまだ実践していないので、今後Retryすることになるかもしれません。

本当にお金が必要になったら、迷わず換金する。

そのとき利益が出ていればありがたい。

もし損失が出ていたら、それは諦める。

売った翌日に株価が上がったとしても、それも仕方がない。

「もう少し待てば上がるかもしれない」

と考え始めたら、またタイミングを当てるゲームに戻ってしまいます。

そもそも何のために資産を作っているのか。

証券口座に表示される数字を大きくすることが人生の目的ではありません。

必要なときに使うためのお金です。

とはいえ、私はまだ本格的に資産を換金した経験がありません。

実際にその場面が来たとき、本当にこの通り行動できるのか。

それは、そのとき改めてRetryすることになるでしょう。

投資をRetryして分かったこと

投資を始めたころ、私はマーケットからお金を持ってくることに憧れていました。

今振り返れば、その憧れが目を曇らせていた部分もあったと思います。

もっと勉強すれば勝てる。

もっと良い方法がある。

もっと効率よく増やせる。

そうやって「勝つ方法」を探していました。

でも結局、自分の資産形成を支えていたのは、もっと地味なことでした。

マーケットから華麗にお金を持ってきたわけではありません。

自分で作った余剰資金を市場に置いて、長い時間を過ごしていたら、結果として少しずつ資産が増えていました。

これから市場がどうなるのかは分かりません。

今ある含み益バリアがなくなる日も来るかもしれません。

それでも市場に居続けられるようにしておく。

それが、いろいろ試した末に今の私がたどり着いた投資との付き合い方です。

投資を始めたころは、相場を読める人になりたかった。

今は、相場を読まなくても困らない人になりたい。

これが、今のところの私の投資Retryです。


※この記事は筆者個人の投資経験と考え方を記録したものであり、特定の金融商品や投資手法を推奨するものではありません。投資には元本割れを含むリスクがあります。

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